- 2016-11-4
- 野生動物達のトリビア
- カルガモ, カルガモの引越し, 偽傷, 早生成, 野生動物達のトリビア
春先になると引越しを行うカルガモの親子たち、
母カルガモの後を沢山のヒナ達が行列になって追いかけていく姿は、
いつ見ても微笑ましいもので、テレビやネットの動画などでも大人気、
しかし何故カルガモの親子が危険を侵してまで地上を歩きまわるのか、疑問に思ったことはないでしょうか?
今回はそんなカルガモの親子が何故子連れで引越しをするのかを解説していきます。
カルガモ親子が引越しをする訳
カルガモが引越しをする理由は 一言で言えばヒナ達の安全と餌の確保の為です、
カルガモのヒナ達の餌は主に水辺に生息する昆虫や植物です、
しかし同じ場所で餌を取っていると取れる餌はどんどん少なくなっていきます、
その為カルガモの親子は定期的に移動をする必要があります、
草原を生きる遊牧民やサバンナに生きる草食動物達と同じ理由ですね、
カラスなどの天敵に居場所を突き止められると頻繁に襲われる様になります、
同じ場所に長く居続けるのはそれだけ危険も増すので定期的に移動して雲隠れし、
安全を確保するという意味でも引越しをすることは理にかなっています。
「それなら餌は親がとってきて、ヒナ達は外に出さずに隠れていればいいじゃないか」
と思うかもしれません、確かに空を飛べる親カルガモなら地上を移動する必要はありませんし、
ヒナが外に出なければ外敵に見つかり辛くとても合理的です、
実際その育て方をしている鳥類は多いです、しかしカルガモの教育方針は全く違うのです。
自分の餌は自分で取る!?カルガモ家の厳しい教育方針
カルガモは基本的にお母さんだけで子どもの世話をします、
でもカルガモのお母さんの他の鳥類のお母さんと比べるととってもスパルタ、
ピーピー鳴いていれば口にご飯を放り込んでくれるわけではありません、
「安全は確保してあげるからから、自分の餌は自分で確保しなさい」という主義で
幼い頃から自分で餌を取ることを求められるのです。
その為、カルガモの赤ちゃんは他の鳥類に比べある程度に成長した状態で生まれてきます、
生まれて少しすれば自力で歩くことが出来るようになり、餌も自分で取れる様になります、
これを「早成性」といい、カルガモの他シマウマやキリンなどの草食動物の赤ちゃんや、
クジラなどの海生哺乳類等も早成性を持ちます。
時にはわが身を盾に我が子を守る母カルガモ
母カルガモは子の面倒をみないネグレクト親?いえいえ違います、
時には身を挺して子を守る頼もしいお母さんです、
ヒナは安全は守るためには、母カルガモの存在は絶対に必要です、
引越しの時に面倒を見てくれる母カルガモがいなければ、
ヒナは満足に新たな餌場に移動出来ないでしょうし、
外敵から狙われた時には母カルガモが自らが囮となってヒナ達を守るのです、
ヒナが狙われていると母カルガモが感じたら、
母カルガモはヒナの傍から離れ、わざと目立つような場所に移動して、
ヨタヨタと歩き「自分は傷ついている」とワザと弱っている振りをして、
外敵の注意を引いてヒナを守るのです、これを「偽傷」といいます。
時に我が子を殺めるお母さんカルガモ
カルガモの母親は常に我が子を案じるグレートマザーの様な存在に思われるかもしれませんが、
残念ながらカルガモの母親は時に我が子を自らの手で殺めることがあります、
カルガモの母親は自身が面倒の見れるヒナの数を把握しているといわれています、
もっと沢山の子どもが育てられると感じれば、卵を追加で産むことがありますが、
飼育環境が変化し、ヒナに十分な餌が確保できないと母親が感じたら、
逆に自らの子どもを殺め、口減らしを行うことがあります、
一見残酷の様にも思われますが、残された子ども達が生存する確率を高める為であり、
少しでも多くの子ども達を育て上げる為の母カルガモの苦肉の策なのです。
【カルガモ】カルガモの親子が引越しする訳 まとめ
カルガモ親子が引越しをする理由について解説しましたが如何だったでしょうか、
賢母でありながら時には我が子に牙をむく姿、自然界の厳しさを物語っている様に思えます、
しかしそんな母親の二面性、実は人間のお母さんも同じ側面を持っているように私は思います、
時に優しく時に恐ろしい、自身の母親に頭が上がらない人、案外多いのではないでしょうか。
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