- 2015-5-30
- 野生動物達のトリビア
- ナマケモノ, 熱帯雨林, 護身術, 野生動物の生活, 野生動物達のトリビア
撮影者:Александр
ナマケモノは本当になまけもの?
ナマケモノという不遇な名をつけられているナマケモノ、でもそもそも自然界という厳しい世界で、
怠けるということ自体が不可能なのではないかと考えていました、
獲物の捕獲、外敵から身を守る術、周囲の環境の変化など抱える問題は山積みです、
今回はそんなナマケモノについてご紹介します。
遅いとにかく遅いナマケモノ
ナマケモノという不名誉な名前をつけられている彼らですが、海外ではどうでしょう?
英語では「Sloth」と言い、その言葉は日本と同じく怠け者、無精という意味合いを持ちます、
とは言えその名前の通り、一日の大半を木にぶら下がって寝て過ごし、
食事、睡眠、交尾も住処から移動せずにそのままするという、
生態を調べれば調べるほどにその名前の通りであることがわかり、ある意味清清しいです。
気が遠くなるほど足が遅いナマケモノ
動物界の俊足ランナーとして、時速120km/hで走るチーターが有名ですが、
ナマケモノだって負けていません、本気を出せば時速120m/hで走行することが可能です!
分速に直すとたった2メートルですね、すみません、そもそも彼らは地上を走る体の構造を持たない上、
哺乳類でありながら変温動物という変わった体質なので、もしも全力で走りすぎると、
体温がオーバーヒートして外敵に何もされなくても死んでしまいます、
そもそも樹上から地上に降りていること自体が、週に一度あるか無いかという超レアなケースです、
そんなナマケモノに脚力を求めること自体が酷でしょう。
しかしナマケモノの済む南アメリカの熱帯雨林では、彼らを狙う外敵も沢山存在しています、
では彼らの緩慢な動きでどうやって自分の身を守っているのでしょうか?
ナマケモノの護身術は動かないこと
ナマケモノは自らの身を守るために全く動かずに背景に溶け込む技術を発達させました、
ナマケモノの体を覆う体毛に1本1本に緑色の藻類が生えていて、
遠目から見ると体全体は緑色に見えます、これは樹上の植物に近い色になる為、
外敵から身を守るカモフラージュになります、もちろんナマケモノはほとんど動かないので、
視覚に頼って狩りを行う鳥類や食肉目には中々効果的です、
この身体能力にも限らず、いまだ絶滅危惧種に指定されないあたり、
彼らの身を守る力は結構優れていると言えるのでしょう。
働かざる者でも食うのもラクなナマケモノ
食事に関してもナマケモノは本当に無欲です、そもそも食事の量自体が非常に少ないようで済むのです、
樹上で生きるコアラの約50分の1であるたった10グラム程度の食事でやっていけます、
食べる量が少ないので、排便も一週間に一回きりしかしません、
食事や排便をする場面を中々観察できないことから、中世の学者たちは、
「ナマケモノは風を食って生きている」という学説が一時期流れるほどです、
もしナマケモノの待機ポーズが座禅だったならば、全く動かないその姿から、
ナマケモノではなくセンニンやソクブツといった名誉ある名前をつけられていたかもしれません、
食事をせずに済むのはナマケモノがエネルギーを使わないで生きていくということを、
徹底してる為です、次の項ではナマケモノのエネルギー節約術をご紹介します。
怠ける為の努力を怠らないナマケモノ
まずナマケモノは哺乳類でありながら変温動物であるという変わった体質を持っています、
温度の調整を自分で行うとそれの伴う代謝で大きなエネルギーを消費してしまいます、
体温の変動を外気に任せることで、エネルギー消費を大きく抑えることに成功しました、
また一日の大半を寝て過ごし、起きていてもほとんど動かないこともエネルギーの消費が少ない理由でしょう、
あまりに動かない為、その身体は他の動物の生活空間にもなってしまうほどで、
他の動物の排泄物で自身の体に苔が生え、この苔を食べるだけでも生活出来るといった倹約家でもあります、
でも食べ物に関する好き嫌いはほとんど無く、樹上の植物100種類近くを食べることが出来るます。
ペットとしても人気なナマケモノ
食べ物は一日野菜を小さじ2杯程度、元々毒を持つ植物でさえ食べることが出来、
人が食べれる大体の植物をナマケモノは食べてくれます、うんちは一週間に一度きり、
自分の足元にしかしないので掃除も楽チン、ほとんど動かない上に人に懐くので抱っこも嫌がらない等、
ペットとしては相当にハイスペックな動物です、
でもお値段は非常に高額で70万~90万円程度と中々手が出ません。
ナマケモノの生活まとめ
ナマケモノの生活やサバイバル術についてまとめましたが如何だったでしょうか?
ナマケモノの名の通り徹底にスローペースな生き方にある種の呆れを感じている筆者ですが、
働きすぎが蔓延する現代の日本社会はある意味見習わなければならないとも思います。
とはいえ一日20時間の寝る生活は頭痛に悩まされそうなので筆者は遠慮したいですが。