【ネズミ・ネコ・ライオン・鷹】動物のことわざのウソ・ホント

kyuso
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中国の故事や日本のことわざの中には、動物が出てくるものが少なくありません、
ですがそんな中には現実にそんなこと起こるの?と疑問に思わずにはいられないような、
非現実的とも言えるものが沢山あるように思います、今回はいくつかの動物のことわざを
ピックアップし、ホントに起こるのか検証していきたいと思います。
 

窮鼠(きゅうそ)猫を噛む

窮鼠猫を噛むとは追い詰められたネズミでもしゃにむに戦えば、
格上であるネコ相手に勝つこともあるということわざです、
ですが自然界では天敵である猫に挑む勇敢なネズミなんて本当にいるのでしょうか?
 

窮鼠猫を噛むはホントに起こる

こちらの動画をご覧下さい。

 
壁を背にして複数のネコに囲まれたネズミ、絶体絶命な場面を絵に描いたような状況です、
ネズミのむしられたお尻の毛は、事前にネコから何度も攻撃を受けてきたことを物語っています、
このピンチでもネズミは諦めず果敢にもネコに対して体当たりを仕掛け、ネコを追い払っています、
そんなネズミにネコはたじたじ、起死回生を狙ったネズミは無事逃げることに成功したようです。
 
自然界では自分を狙う天敵に対して反撃を行うことは、珍しいことではないようです、
ネズミの他にもカタツムリが天敵であるオサムシ対して、
殻を振り回して反撃することが北海道大学の研究で明らかになってきました、
獲物を狩る側の動物でさえ常勝不敗とはいかず、自然界がいかに厳しいか物語っているように思えます、
「窮鼠猫を噛む」は現実に本当に起こり得ることわざなのです。
 

獅子身中の虫

獅子身中の虫とは、ライオンを宿主にしている寄生虫が病気などでライオンの身体を蝕み、
結果的にライオンを殺してしまうこと、転じて組織の内部にいながら組織を腐敗させる人間や、
恩を仇で返す人間のことを言います、果たしてそんな凶悪な寄生虫はホントに存在するのでしょうか?
 

獅子身中の虫はホント

寄生虫は宿主の身体を借りて生きる生き物、宿主が死んでしまえば住処を失うことになり
共倒れになってしまいます、自分で宿主を殺すなんてもっての他、
寄生虫からすれば宿主には長生きしてもらい、長い間住まわせてもらいたいのです、
なので基本的に適切な宿主に居ついた寄生虫は、宿主に悪さをしないのが普通なのです。
 
例えばエキノコックスという寄生虫は、人間に感染すれば致死率90%と言われる恐ろしい寄生虫ですが、
エキノコックスは本来の宿主であるイヌやキタキツネに寄生している間は、危害を加えることはありません、
エキノコックスが悪さをするのは、人間の身体にうまく住むことが出来ないからなのです。
 
ライオンを殺す寄生虫にバベシアがあります、過去にタンザニアの国立公園に住む約3分の1のライオンが、
このバベシアによって命を落としたという記録が残っています。
バベシアはキャリアーであるダニがライオンの血を吸うことで体内に寄生するのですが、
バベシアを持つダニは本来水牛などに寄生する虫、ライオンが狩りで捕らえた水牛から、
本来の宿主ではないライオンにダニが移り、ライオンを殺してしまうのです、
「獅子身中の虫」は自然界で現実に起こり得るホントのことわざなのです。
 

能ある鷹は爪を隠す

狩りの得意な鷹は獲物に察知されない様、普段は爪を隠すことから、
転じて本当に実力がある人間は、それをひけらかそうとはしないことを指します、
果たして現実の鷹は本当に普段爪を隠すのでしょうか?
 

能ある鷹は爪を隠すはウソ

鷹がぬいぐるみのウサギを捕らえるコチラの動画をご覧下さい。

 
鷹が鋭い爪でぬいぐるみを襲う場面、鷹の足元をよくよく見てみると、
鷹の足の周りは毛や肉がほとんど無く、元々身体が爪を隠せる構造になっていないことがわかります、
また鷹の狩りの手法は、はるか上空から狙いを定め一気に急降下して獲物を捕らえます、
狙われる方から見れば、相手が遠すぎて爪を隠していようがいまいが全然わかりません、
鷹が爪を隠すこと自体、あまり意味が無い行動なのです、結局これは自然界では起こりえないことで、
「能ある鷹は爪を隠す」は現実には起こり得ないウソのことわざであると言えるでしょう。
 

上手の猫が爪を隠すはホント

似たような意味のことわざに「上手の猫が爪を隠す」があります、
狩りの上手い猫は普段は爪を隠して生活することから転じたことわざです、
ご存知の通りネコは鷹とは違い爪を手の中に収納することが出来ます、
この爪を収納することにもちゃんとした意味があります。
 
ネコは狩りの時、獲物に自分の居場所を知られないように細心の注意を払います、
姿勢を低くして自分を見え難くし、忍び足で物音を立てずに獲物に近寄ります、
もし爪を剥き出しにしていれば、地面に足が付くたびにカリカリ音が鳴り、
獲物に自分の存在がバレてしまいます、その為獲物に爪を向けるその瞬間まで爪を隠すのです、
決して自分の狩り能力を見せびらかしたくないから爪を隠すのではありません、
ちなみにネコの肉球も物音を立てないためにあります、
その軟らかさで足を付けたときの衝撃を吸収し、足音を最小限に抑えるのです、
決して人間の飼い主にふにふにされる為にあるわけでは無いのであしからず。
 

動物のことわざのウソ・ホント まとめ

動物に関することわざについて検証しましたが如何だったでしょうか?
人間側のイメージが先行して出来上がったウソのことわざも確かにありましたが、
実際に起こりえることを元にしたことわざが案外多かったのも事実で、
昔の人達の観察眼の鋭さには舌を巻きます、
物事をよく観察することの大切を先人達から学びたいものですね。
 
撮影者:Tambako the Jaguar


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