- 2017-1-11
- 野生動物達のトリビア
- クマムシ, 乾眠, 野生動物達のトリビア
地球上で最強の生物と言ったら、皆さんどのような動物が思い浮かべるでしょうか、
立派なタテガミを持つ百獣の王ライオン?ジョーズでお馴染み、海の殺し屋ホホジロザメ?
いえいえ、世の中にはもっと強い生命力を持つ強靭な身体を持った生物が存在します、
その名を「クマムシ」と言い、ありとあらゆる極限状態でも生存が可能な究極の生物なのです、
今回はそんなクマムシの最強伝説についてご紹介していきます。
地球最強の生命力を持つクマムシ
クマムシの生命力の高さは間違いなく世界最強です、
250度以上の超高温~マイナス200度の越える極寒にも耐えられ、
75000気圧以上の高圧から、宇宙空間の真空状態にも耐え、
更には極限の乾燥状態の他、人間の致死量の1000倍以上の紫外線にも耐えられる、
そしてこの最強の生物は私達の身近なところに潜み、日々我々を様子を伺っているのです、
「こんなエイリアンみたいな究極生物に襲われたらお終いだ、人間が勝てるわけが無い」
何て恐怖する人がいるかもしれませんが、心配はいりません、
何故って?それはクマムシは実はとってもちっぽけで弱っちい存在だからなのです。
実はとても弱いクマムシ
上の画像ではエイリアンのような恐ろしい外見をしていますが、
クマムシの体長は全長1ミリにも満たない小さな生き物です、
世界に100種以上発見されている本当に何処にでもいる存在で、
例えば塀に生える干からびたコケの中、木々が生える足元の土壌の中、
池の中といったありふれたところから、
高山地帯や極寒の南極、深海の泥の中など、厳しい環境でも生息しています。
また極限状態にも耐えられるとは言いましたが、
あくまで「乾眠(クリプトビオシス)」と呼ばれる状態になった時だけです、
乾眠というのは自身の暮らす環境が厳しくなった時、
環境の変化に備えて自分の身体を一時的に仮死状態にすることをいいます、
自身の身体を樽型にして、トレハロースという特別な物質で身体全体を覆います、
乾眠から元に戻すには水を与えるだけでよいので、蘇生させるのは簡単です。
普段のクマムシは熱いお湯をかけられれば死んでしまうし、
人の指先で挟むだけでも押し潰されて死んでしまいます、
そして歩く速度は非常に遅く、同じ微生物のゾウリムシの足元にも及びません、
普段のクマムシはお世辞にも最強の動物とは言えないのです、
ですがその短い足で、のそのそ動く姿は中々にかわいいと評判で、
ぬいぐるみなどのグッズもあるそうですよ。
乾眠状態でも完璧というわけでも無い
更には乾眠の状態であっても完全無敵とはいきません、
物理的に頑強なわけではなく、ハリで突っついただけで膜が破れてしまいますし、
親水性の高いエタノールに浸すと元に戻れずやっぱり死んでしまいます、
高温、低音、高圧、真空などの極限状態でも耐えられるとはいいましたが、
その後に蘇生した後も元気ハツラツとはいうわけにはいかず、
身体の動きが乾眠前よりも鈍くなったり、平均寿命が縮んだりなど、
クマムシ自身に後遺症が残ることも少なくないそうです。
クマムシは100年以上生きられる!?
クマムシの平均寿命はおおよそ一ヶ月程度と言われていますが、
乾眠状態だと老化の進みが遅くなる為か、寿命がこれより伸ばせるそうです、
とあるイタリアの論文では、120年前の乾燥したコケの標本に水を浸したら、
中にいたクマムシが蘇生したという逸話が残されています、
つまり乾眠状態ならクマムシは100年以上生きられるということになります。
ただしこの話には続きがあって、蘇生できたのは沢山いたクマムシのうち一部だけ、
更にはその蘇生したクマムシも数分後には死んでしまったそうです、
乾眠状態なら老化が遅れるとはいっても、限度があるようですね。
【クマムシ】地球最強の生命力を持つクマムシまとめ
地球最強と呼ばれるクマムシについてご紹介しましたが如何だってでしょうか?
最強と言えるのは乾眠状態と呼ばれる限定された状況だけで、
いつでも最強とはいかないことがおわかりいただけたかと思います。
これは人間でも同じことが言えるのかもしれません、
一見完全無欠で欠点がない様に見える人でも、
私達の気付かないところで何処か弱さを抱えて悩んでいるのかもしれません、
そんな人の弱さに気付き寄り添ってあげられる人間になりたいと常々筆者は思います。
クマムシについて更に知りたい方はコチラの文献がオススメ!