- 2015-8-2
- 野生動物達のトリビア
- オオウミガラス, ペンギン, 北極, 南極, 野生動物達のトリビア
撮影者: rikulh11
ヨタヨタと歩く姿が愛らしいペンギン、その姿はまるで歩くことを覚えた直後の赤ちゃん、
見た目どおり歩行のバランスが悪く、よく転ぶ彼らですが、
一度水の中に入れば、海中を飛ぶように泳ぐ一級のハンターに早変わり、
今回は彼らペンギンの歴史や疑問に迫って行きたいと思います。
■第一印象は羽の生えた魚!?
ペンギンが始めて発見されたのは、大航海時代真っ只中の15世紀末の頃、
発見当時の冒険家達は、その見慣れぬペンギンを「羽の生えた魚」なんて表現していました、
鳥でありながら、その恰幅のよい体系から、スペイン語で「太っちょ」という意味の
「ペングウィーゴ」と呼ばれ、これがペンギンと呼ばれるようになった由来だといわれています。
当時は「魚と鳥の雑種」だと考えられ、それが200年近くも通説だったいうのだから驚きです、
ペンギンは素人でも簡単に捕獲できることから、当時食料として乱獲され数が激減し、
それが元で現在ペンギンの多くは絶滅危惧種に指定されています。
■ペンギンが北極に住まない理由は?
ペンギンは元々南半球に生息していた海鳥から進化してきた動物です、
寒い地方で生活してきたので、厚い脂肪や小さな嘴など、寒さに適応した身体に進化していきます、
しかし寒さに適応したなら、近い環境である北極に移り住んだペンギンがいてもいいのでは?
と思う方もいらっしゃるかもしれません、ペンギンが北極に移り住むことが出来ない最大の理由は、
悲しいことにこの寒さに対応して身体が進化してしまったが為なのです。
元々長距離を泳ぐことが多いペンギンは、南極から北極まで移動できる体力自体は持ち合わせています、
最大の問題は赤道付近を泳ぐときで、寒さに適応した身体は暖流を泳ぐには暑すぎます、
厚い脂肪が足かせとなり、赤道付近の水温の高い海域を越えることが出来ないのです、
赤道が厚い壁となり、彼らは北極への道筋を絶たれ新しい環境を開拓することが出来ませんでした、
もっとも北極は南極と異なり、陸上での狩りを得意とした肉食性の動物が多く、
ホッキョクグマやホッキョクキツネなど、ペンギンの外敵になりそうな動物が多く生息しています、
例え北極に到達することができても、身を守るすべを持たないペンギンには、
北極で生き残るのは難しかったかもしれません、
■ペンギンが飛ばなくなった理由は?
ペンギンも元々は空を飛ぶ海鳥でしたが、空を飛ぶための翼を失くしたのは、
ペンギンが飛ぶことに意味を成さなくなった為です、
ペンギンの住む南極には外敵が少なく、身を守る為の翼が必要ありません、
巣は海岸付近に作ることが多く、餌場の海と距離が近い為、翼が無くても別に移動には困りません、
海の食料が豊富で、餌場を移す必要も無く、渡り鳥の性質を持っているわけでは無いので、
狩り以外で長距離の移動をすることもほとんどありません。
結局ペンギンは飛ぶための翼を維持する必要が無かったため、
ペンギンは飛ぶための翼を水中特化の翼に進化させる選択をとったのです。
■ペンギンが首を振るしぐさをするのは何故?
水族館でペンギンを観察していると、時折首を左右にプルプルと振るしぐさをとることがあります、
非常に愛らしい仕草ですが、別に彼らは寒くて首を振っているわけではありません、
ペンギンは身体に海水を塩分と真水に分ける機能を持っています、
彼らは餌と一緒に飲み込んだ海水や餌の余分な塩分ををろ過して、外に排出します、
この塩分を外に排出する仕草がこの首をプルプル振る動作で、
彼らにとっては生きるために必要な大事な動作なのです。
■実は近眼なペンギン
ペンギンは実は極度の近眼で、地上での視力は人間でいう視力0.3程度でしかありません、
鳥類は、空から地上が判別出来る様に、人間よりも遥かに高い視力を持っているのが普通です、
ペンギン達は鳥類を基準に見れば相当な異端児といえます、
ですがこれも飛ぶための翼を失ったのと同様、海での生活の為に切り捨てた能力なのです、
彼らペンギン達は地上での視力を捨て、水中専用の目に進化させていきました、
水中では彼らは地上の鳥達に負けないほどの視力を持っており、
遠距離を見るだけでなく、色覚にも優れた水中専用の目を持っているのです。
■海を飛ぶ鳥ペンギンのまとめ
ペンギンの歴史や不思議な行動について解説しましたがいかがだったでしょうか、
恥ずかしながら筆者はペンギンが中世の人間の乱獲により数を減らし、
絶滅危惧種に指定されていることを知りませんでした、
またオオウミガラスと呼ばれる、ペンギンそっくりの動物は人間の乱獲により既に絶滅しています、
弱肉強食の自然界である以上、適応できていない動物が絶滅するのは当然なのですが、
突然見知らぬ土地からやってきた外敵「ヒト」に、瞬時に適応しろというのも無茶な話です、
しかしメダカの減少で病気を媒介する蚊が増加し、日本脳炎が蔓延した当時の日本のように、
生態系が乱れることで人間に対して思わぬしっぺ返しを受けることだってあります、
私達はそれを踏まえた上で、動物達との付き合いを考えていかなければならないと思います。