前回は交尾後にオスを失い、孤軍奮闘で巣作りする女王アリをご紹介しました、
今回はその後のキノコ栽培から、働きアリの育成、トラブル解決などを掲載していきます。
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自らの身を犠牲にしてキノコを育てる女王アリ
巣つくりを終えた女王アリは、生まれた巣で食べたキノコの菌を吐き出し、
自らが産んだ卵を肥料にしてキノコの栽培を始めます、
育て始めたばかりのキノコは非常に弱く、少し取っただけでもダメになってしまうので、
女王アリは成熟するまでキノコを一切食べようとしません、女王アリは自分の身体に蓄えた脂肪、
既に不要になった羽の筋肉、産み落とした卵などを栄養にして、なんとか生活していきます。
まさに自らの身を犠牲にして栽培するキノコを育てていくのです。
大忙しの女王アリ
巣を作りたての女王アリの仕事は山ほどあります、キノコの世話をするのも女王アリ、
生んだ卵の世話をするのも女王アリ、休む間もないデスマーチ状態です、
そして一週間もすると最初の働きアリが誕生します、働きアリは卵やキノコの世話を女王アリから引継ぎ、
女王アリはようやく卵を産むことに専念することが出来る様になります。
一部の働きアリ達は巣の外に出てキノコの肥料になる葉っぱを集めてきます、
キノコ農園がついに起動に乗り始め、ようやく安定した生活が出来る様になります。
巣を襲う様々トラブルとアリ達の対処
しかしその後も巣を襲うトラブルは後を絶ちません、例えば栽培したキノコが病気になったときなどです、
一度病気が蔓延するとキノコ農園は全滅してしまいます、
その為持ち込む葉っぱに病気の元になるカビが付いていないか、悪さをする微生物がいないかなどを、
事前にチェックしますが、それでも病気が流行ってしまった場合は、
他の巣から健康なキノコを奪ってくるということもあります、キノコを奪うことは簡単ではありませんが、
巣の全滅を防ぐためには避けては通れない道です。
またキノコだけでなくアリ自身の身体も気をつけねばなりません、
南アメリカではアリに寄生するハエが生息しており、一度外に行けば、
働きアリは背中に寄生ハエが卵を産みつけえられる危険性があります、
そんな働きを守る為、働きアリの背中には常にハエから身を守ってくれるガードマンアリがいます、
このガードマンアリは身の丈は働きアリよりも小さいですが、強靭な顎をもっており、
近づく寄生バエをその顎で追い払ってくれます、また担いだ葉っぱを整備する役割ももっており、
葉っぱのカビや微生物を取り除いて、キノコの健康をも管理してくれるデキル奴です。
また巣に侵入してくる外敵がいることも忘れてはなりません、
ですが巣を襲う他の昆虫やアリは身体と顎の大きい屈強な軍隊アリが守ってくれます。
アリ達の問題解決能力は高く、高度に社会化されて分業されたアリ達が、
それぞれの役割を果たすことで、巣全体を守っているのです。
ハキリアリ 農園開拓への苦難の道 まとめ
今回はハキリアリが苦難の末に農園を開設するシーンをご紹介しました、
彼らは南アメリカで最も成功した昆虫ですが、数が多いことはそれだけ狙われることも多く、
他の動物の餌などになり、犠牲になっている数も最も多い昆虫でもあります、
数が多い分それを餌にいする天敵も多く、敵を多く作りやすいのです。
地上の生息数の上では勝者ですが、それは決して数で他の生物を蹂躙するものではありません、
私達人間もその点を見習って、他の動物達を尊重して生きていきたいものです。
撮影者:Photobotos